無料プログラミング教室 Pスクール Python FX自動売買 第4章: PythonとFXプロットによる可視化

第4章: PythonとFXプロットによる可視化

Pythonを使用してFXデータを可視化する方法を解説します。可視化は、取引のトレンドや価格変動を理解しやすくするための非常に重要な手段です。これにより、データのパターンを発見し、戦略の精度を高めることができます。本章では、具体的にPythonの代表的なライブラリであるmatplotlibplotlyを用いて、為替データをプロットし、売買シグナルやトレンドラインを可視化する方法を学びます。

4.1 matplotlibを使用した為替データのプロット

matplotlibは、Pythonの中でも最も広く使用されている2Dプロットライブラリで、シンプルなグラフを作成するのに適しています。まず、為替データを取得して、ローソク足やトレンドラインを表示する基本的なグラフを作成します。

4.1.1 必要なライブラリのインストールと準備

まず、以下のコマンドで必要なライブラリをインストールします。

pip install matplotlib pandas mplfinance

次に、FXデータを取得し、プロットの準備をします。ここでは、例としてpandasを使用してCSVファイルからデータを読み込みます。

import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
import mplfinance as mpf

# 為替データを読み込む
data = pd.read_csv('fx_data.csv', index_col=0, parse_dates=True)

# 必要なカラム(時間、始値、高値、安値、終値、出来高)の確認
print(data.head())

CSVファイルのデータが次のような形式であることを想定しています。

Date,Open,High,Low,Close,Volume
2023-10-01 00:00,1.0568,1.0570,1.0560,1.0562,100
2023-10-01 01:00,1.0562,1.0565,1.0555,1.0557,120
...
4.1.2 ローソク足チャートのプロット

次に、mplfinanceを使用してローソク足チャートを作成します。ローソク足は、為替の価格動向を直感的に理解するための基本的なプロットです。

# ローソク足チャートをプロット
mpf.plot(data, type='candle', volume=True, style='charles')

ここで、type='candle'はローソク足をプロットするためのオプションです。また、volume=Trueで出来高も一緒に表示します。スタイルオプションの'charles'は、視覚的に見やすいローソク足のスタイルを提供します。

4.1.3 移動平均線を追加する

次に、移動平均線(MA)を追加してトレンドをより明確に把握できるようにします。短期の移動平均線と長期の移動平均線を重ねて表示することで、売買シグナルがわかりやすくなります。

# 5日と20日の移動平均線を追加してプロット
mpf.plot(data, type='candle', volume=True, style='charles',
mav=(5, 20), title="FXチャート (5日 & 20日移動平均)")

移動平均線は、特定期間の平均価格を計算することで、価格のトレンドを平滑化します。上記の例では、5日移動平均(短期)と20日移動平均(長期)を追加しています。これにより、2本のラインの交差点が、潜在的な売買シグナルとして機能します。

4.2 plotlyを使用したインタラクティブなプロット

次に、plotlyを使用してインタラクティブなグラフを作成します。plotlyは、インタラクティブで動的なグラフを作成するのに優れており、ZoomやHover機能などが使えるため、詳細なデータ分析に適しています。

4.2.1 plotlyのインストールと準備

まず、plotlyをインストールします。

pip install plotly

次に、plotlyを使ってシンプルなローソク足チャートを作成します。

import plotly.graph_objects as go

# plotlyのローソク足チャート
fig = go.Figure(data=[go.Candlestick(x=data.index,
open=data['Open'],
high=data['High'],
low=data['Low'],
close=data['Close'])])

# チャートのタイトルやラベルを追加
fig.update_layout(title="FXローソク足チャート",
xaxis_title="日付",
yaxis_title="価格")
fig.show()

このコードでは、go.Candlestickを使用してローソク足をプロットし、x=data.indexで時間軸を指定しています。fig.show()を実行することで、ブラウザ上でインタラクティブなグラフが表示されます。

4.2.2 売買シグナルの可視化

次に、簡単な売買シグナルをチャート上に表示します。ここでは、単純移動平均線(SMA)の交差点を使って売買シグナルを生成し、それをグラフに描画します。

# 移動平均を計算
data['SMA5'] = data['Close'].rolling(window=5).mean()
data['SMA20'] = data['Close'].rolling(window=20).mean()

# 売買シグナルを生成
buy_signals = (data['SMA5'] > data['SMA20']) & (data['SMA5'].shift(1) <= data['SMA20'].shift(1))
sell_signals = (data['SMA5'] < data['SMA20']) & (data['SMA5'].shift(1) >= data['SMA20'].shift(1))

# チャートにシグナルを追加
fig.add_trace(go.Scatter(x=data.index[buy_signals],
y=data['Close'][buy_signals],
mode='markers',
marker=dict(color='green', size=10),
name='Buy Signal'))

fig.add_trace(go.Scatter(x=data.index[sell_signals],
y=data['Close'][sell_signals],
mode='markers',
marker=dict(color='red', size=10),
name='Sell Signal'))

# インタラクティブチャートを表示
fig.show()

このコードでは、移動平均線の交差を利用して買いシグナル(緑の点)と売りシグナル(赤の点)を描画しています。これにより、トレーダーがエントリーやエグジットのタイミングを視覚的に把握しやすくなります。

4.3 トレンドラインの追加

トレンドラインは、データの長期的な方向性を理解するために役立ちます。plotlyでは、線を追加することでトレンドラインを表現できます。ここでは、ローソク足チャートにトレンドラインを追加してみます。

# トレンドラインの追加
fig.add_trace(go.Scatter(x=data.index,
y=data['Close'].rolling(window=50).mean(),
mode='lines',
line=dict(color='blue', width=2),
name='50日移動平均線'))

# チャートの表示
fig.show()

この例では、50日移動平均線を青い線でプロットしています。長期のトレンドを確認する際に、移動平均線が役立ちます。

4.4 データのトレンドと変動の分析

最後に、プロットを通じてデータのトレンドと変動を分析する方法について考察します。例えば、ボリンジャーバンドを用いることで、価格の変動範囲を視覚的に示すことができます。

4.4.1 ボリンジャーバンドのプロット

ボリンジャーバンドは、価格のボラティリティを視覚化するために使用され、標準偏差を基に価格の変動範囲を示します。

# ボリンジャーバンドの計算
data['SMA20'] = data['Close'].rolling(window=20).mean()
data['stddev'] = data['Close'].rolling(window=20).std()
data['upper_band'] = data['SMA20'] + (data['stddev'] * 2)
data['lower_band'] = data['SMA20'] - (data['stddev'] * 2)

# ボリンジャーバンドのプロット
fig.add_trace(go.Scatter(x=data.index, y=data['upper_band'],
line=dict(color='gray', width=1),
name='Upper Band'))

fig.add_trace(go.Scatter(x=data.index, y=data['lower_band'],
line=dict(color='gray', width=1),
name='Lower Band', fill='tonexty'))

fig.show()

ボリンジャーバンドは、価格がバンド内に収まる傾向があり、バンドの上下に近づくと反転する可能性が高いことを示唆します。これを利用して、買いまたは売りのシグナルを得ることができます。

まとめ

この章では、Pythonを使用してFXデータを可視化し、売買シグナルやトレンドラインを表示する方法を学びました。matplotlibによる基本的なプロットから、plotlyを使ったインタラクティブなグラフ作成まで、さまざまな方法でデータを視覚化し、トレード戦略の検証や分析に役立てることができます。

次の章では、これらの可視化手法を活用して、実際に戦略を評価し、バックテストを行う方法について詳しく解説します。


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