第2章: Javaの基本構文

2.1 データ型と変数

Javaでは、データの種類を明示的に定義する「データ型」と、そのデータを格納する「変数」を使用します。Javaのデータ型には、メモリの効率性やデータの取り扱いのために定義された「プリミティブ型」と、「オブジェクト型」の2種類があります。これらを理解し、適切なデータ型を使い分けることは、効率的なプログラムを書くための第一歩です。

2.1.1 プリミティブ型

プリミティブ型は、基本的なデータ型を直接扱うもので、以下の8つが存在します。これらはJavaが事前に定義しており、メモリ内に効率的に保存されるため、特に計算処理が多い場合やメモリ消費を抑えたい場合に効果的です。

  1. 整数型
    • byte: 1バイト、-128から127までの整数を格納。
    • short: 2バイト、-32,768から32,767までの整数を格納。
    • int: 4バイト、-2^31から2^31 – 1までの整数を格納。
    • long: 8バイト、-2^63から2^63 – 1までの整数を格納。
  2. 浮動小数点型
    • float: 4バイト、単精度の小数を格納。
    • double: 8バイト、倍精度の小数を格納。
  3. 文字型
    • char: 2バイト、Unicode文字(UTF-16)を格納。
  4. 論理型
    • boolean: 1ビット、trueまたはfalseを格納。

例:

int age = 25;
double pi = 3.14159;
char initial = 'A';
boolean isStudent = true;

2.1.2 オブジェクト型

オブジェクト型(または参照型)は、Javaのクラスから生成されたオブジェクトを指します。プリミティブ型とは異なり、変数にはデータそのものではなく、オブジェクトへの参照(アドレス)が格納されます。代表的なオブジェクト型には以下のようなものがあります。

  • String: テキストデータ(文字列)を扱うための型。
  • Array: 同じ型の複数の要素を格納する配列。
  • User-Defined Classes: 開発者が定義したカスタムクラス。

例:

String name = "Alice";
int[] scores = {85, 90, 78};

2.2 演算子と制御構造

演算子と制御構造を理解することは、効率的に計算を行ったり、プログラムの流れを制御する上で非常に重要です。

2.2.1 演算子

演算子は、データに対して演算を行うための記号や記述方法です。以下、Javaの代表的な演算子を説明します。

  1. 算術演算子
    • + : 加算
    • - : 減算
    • * : 乗算
    • / : 除算
    • % : 剰余(余りを計算)

例:

int x = 10;
int y = 3;
int sum = x + y; // 13
int difference = x - y; // 7
int product = x * y; // 30
int quotient = x / y; // 3
int remainder = x % y; // 1
  1. 比較演算子
    • == : 等しい
    • != : 等しくない
    • > : 大きい
    • < : 小さい
    • >= : 大きいか等しい
    • <= : 小さいか等しい

例:

int a = 5;
int b = 10;
boolean isEqual = (a == b); // false
boolean isGreater = (a > b); // false
boolean isLessOrEqual = (a <= b); // true
  1. 論理演算子
    • && : 論理積(AND)
    • || : 論理和(OR)
    • ! : 否定(NOT)

例:

boolean condition1 = (a < b);  // true
boolean condition2 = (a == 5); // true
boolean result = condition1 && condition2; // true

2.2.2 制御構造

制御構造は、プログラムの流れを制御するための構文です。Javaでは、以下のような基本的な制御構造が用意されています。

  1. 条件分岐(if文、switch文)
    • if文: 条件が真の場合に特定のコードを実行。
    • else ifelse:複数の条件を扱う際に使用。
    • switch文: 複数の選択肢がある場合に使用。

例:

int score = 85;
if (score >= 90) {
System.out.println("Aランク");
} else if (score >= 80) {
System.out.println("Bランク");
} else {
System.out.println("Cランク");
}
  1. ループ(for文、while文、do-while文)
    • for文: 繰り返し回数が決まっている場合に使用。
    • while文: 条件が真である限り繰り返す。
    • do-while文: 最低1回は必ず実行され、以降は条件が真である限り繰り返す。

例:

for (int i = 0; i < 5; i++) {
System.out.println("iの値は: " + i);
}

int count = 0;
while (count < 5) {
System.out.println("カウントは: " + count);
count++;
}

2.3 メソッド

メソッドは、特定のタスクを実行するコードのまとまりです。メソッドを定義することで、コードの再利用性が向上し、可読性が高まります。

2.3.1 メソッドの定義

メソッドは、以下の構文で定義されます。

public returnType methodName(parameters) {
// メソッドの処理
return returnValue;
}
  • 戻り値の型: メソッドが返す値の型を指定。
  • メソッド名: メソッドの識別名。
  • パラメータ: メソッドに渡す引数を定義。
  • return文: 戻り値がある場合、値を返すために使用。

例:

public int add(int a, int b) {
return a + b;
}

2.3.2 引数と戻り値

メソッドには、処理に必要なデータを渡すための「引数」があり、処理結果を返す「戻り値」を指定できます。戻り値が不要な場合は、戻り値の型をvoidとします。

public void printHello() {
System.out.println("Hello, Java!");
}

上記で定義した内容を理解することで、Javaプログラミングの基本的なスキルが身につきます。


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