第2章: PHPの基本文法

PHPの基本的な構文や使い方を理解するために、変数、データ型、演算子、条件分岐、ループ処理について詳しく解説していきます。プログラミングの基礎を固めるために重要な内容が含まれていますので、丁寧に学んでいきましょう。


2.1 変数とデータ型

PHPの変数の宣言と使用方法

PHPでは、変数は「$」の後に変数名をつけて宣言します。PHPの変数名は英数字とアンダースコアで構成でき、数字から始まることはできません。また、変数は他の多くのプログラミング言語と異なり、データ型を明示的に指定せずとも値の種類に応じて自動的にデータ型が決まる「動的型付け言語」です。

$greeting = "Hello, World!"; // 文字列を格納
$age = 25; // 整数を格納
$price = 12.5; // 浮動小数点数を格納
$isActive = true; // ブール値を格納

PHPでは、変数は一度宣言された後、いつでも他の値を代入できます。これは「可変」と呼ばれる特性で、変数の内容を必要に応じて変化させられるという意味です。例えば、以下のコードでは変数$ageに異なる値を代入しています。

$age = 25;
echo $age; // 出力: 25

$age = 30;
echo $age; // 出力: 30
データ型(整数、浮動小数点、文字列、ブール値など)

PHPの基本的なデータ型には、以下のものがあります。

  1. 整数 (Integer)
    整数型は、正負の整数を表します。10進数、8進数、16進数、2進数が利用可能です。
    $number = 42;
    $negative = -15;
  2. 浮動小数点 (Float)
    小数点を含む数値を表します。計算には不正確になる場合もあるため、注意が必要です。
    $price = 19.99;
  3. 文字列 (String)
    テキストを表します。シングルクォート(’)またはダブルクォート(”)で囲んで指定します。ダブルクォートを使うと、変数展開(変数の内容を埋め込むこと)が可能です。
    $greeting = "Hello, World!";
    $name = 'John';
  4. ブール値 (Boolean)
    論理的な真(true)または偽(false)を表します。条件分岐などで使用されます。
    $isVisible = true;
    $isActive = false;
  5. NULL
    変数に値がない状態を表します。明示的にNULLを設定することで、変数が未設定であることを示すことができます。
    $notSet = null;
  6. 配列 (Array)
    複数の値を格納するために使用します。配列には後の章で詳しく触れますが、簡単な例として以下のような使い方があります。
    $fruits = array("apple", "banana", "orange");

2.2 演算子

演算子は、変数や値に対する操作を行うための記号です。PHPでよく使われる演算子について、代表的なものを見ていきましょう。

数学演算子

PHPには、基本的な四則演算や余剰を計算するための演算子が用意されています。

  • 加算 (+)
    二つの値を加算します。
    $result = 10 + 5; // 15
  • 減算 (-)
    二つの値を減算します。
    $result = 10 - 5; // 5
  • 乗算 (*)
    二つの値を乗算します。
    $result = 10 * 5; // 50
  • 除算 (/)
    二つの値を除算します。
    $result = 10 / 5; // 2
  • 剰余 (%)
    割り算の余りを求めます。
    $result = 10 % 3; // 1
論理演算子

条件の組み合わせに使用され、主にif文などで使用されます。

  • 論理 AND (&&)
    両方の条件が真の場合にのみ真になります。
    $isTrue = true && true; // true
  • 論理 OR (||)
    どちらかの条件が真の場合に真になります。
    $isTrue = true || false; // true
  • 論理 NOT (!)
    条件を反転させます。真なら偽、偽なら真になります。
    $isFalse = !true; // false
文字列演算子

文字列の連結に用いられる演算子があります。

  • 文字列結合 (.)
    二つの文字列を結合します。
$firstName = "John";
$lastName = "Doe";
$fullName = $firstName . " " . $lastName; // "John Doe"
型変換と演算における注意点

PHPでは、異なるデータ型間での演算が行われる場合、自動的に型変換が行われることがあります。例えば、文字列と数値を加算すると、PHPは文字列を数値に変換しようとします。しかし、意図しない動作を引き起こす場合があるため、特に異なる型のデータを扱う際には注意が必要です。

$number = "10";    // 文字列型
$result = $number + 5; // $numberが整数型に変換され、結果は15

2.3 条件分岐

if, else, elseifの使い方

条件分岐は、プログラムの動作を条件に応じて変えるために使います。

  • if文
    条件が真である場合に、指定した処理を実行します。
$score = 85;
if ($score >= 80) {
echo "合格です!";
}
  • if-else文
    条件が偽である場合には別の処理を行います。
$score = 65;
if ($score >= 80) {
echo "合格です!";
} else {
echo "不合格です。";
}
  • elseif文
    複数の条件を設定したい場合に使用します。
$score = 70;
if ($score >= 80) {
echo "優秀です!";
} elseif ($score >= 60) {
echo "合格です。";
} else {
echo "不合格です。";
}
switch文の使い方と応用例

switch文は、複数の条件がある場合に便利です。複数の値に対して同じ処理を行いたい場合にも有効です。

$day = "月曜日";
switch ($day) {
case "月曜日":
echo "仕事の始まりです!";
break;
case "金曜日":
echo "週末が近いです!";
break;
default:
echo "普通の日です。";
break;
}

2.4 ループ処理

for, while, do-whileループの使い方

ループは、同じ処理を繰り返す際に使われます。

  • forループ
    決まった回数だけ繰り返すのに適しています。
for ($i = 0; $i < 5; $i++) {
echo "カウント: $i";
}
  • whileループ
    条件が真の間繰り返し続けるループです。
$count = 0;
while ($count < 5) {
echo "カウント: $count";
$count++;
}
  • do-whileループ
    最低でも一度は実行されるループです。
$count = 0;
do {
echo "カウント: $count";
$count++;
} while ($count < 5);
ループのネストとbreak/continue

ループの中に別のループを入れることができます。ネストを使うことで多次元データの処理も可能です。

また、breakを使うとループを強制的に終了できます。continueは、残りの処理をスキップし、次の反復処理に移ります。

for ($i = 0; $i < 5; $i++) {
for ($j = 0; $j < 5; $j++) {
if ($j == 3) {
break; // 内側のループを抜ける
}
echo "i=$i, j=$j ";
}
}

この章で紹介した基本文法は、PHPのプログラミングにおける土台となる知識です。しっかりと理解し、実際にコードを書いて動作を確認することで、より深い理解を得ることができるでしょう。次章では、さらに配列やコレクションといった複雑なデータ構造を学びます。


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