第9章: Pythonのファイル操作

プログラムを書いていると、データを外部ファイルから読み込んだり、プログラムの実行結果をファイルに保存したりすることがよくあります。Pythonにはこのようなファイル操作を簡単に行うための便利な機能が豊富に揃っています。この章では、ファイルの読み書きの基本から、テキストファイルやCSVファイルの操作、さらにwith文を使った効率的なファイル管理までを詳しく解説します。

9.1 ファイル操作の基本

Pythonでは、ファイルを操作するためにopen()関数を使用します。この関数を使って、ファイルを開き、その内容を読み書きすることができます。open()関数には2つの主な引数があります。

  • ファイル名: 操作対象となるファイルの名前(ファイルパス)。
  • モード: ファイルを開く際のモードを指定します。代表的なモードは次の通りです。
    • 'r': 読み込み専用モード(既存のファイルを読み込む)
    • 'w': 書き込み専用モード(新しいファイルを作成し、既存のファイルがあれば上書きする)
    • 'a': 追記モード(既存のファイルに追記する)
    • 'b': バイナリモード(バイナリファイルを扱う場合に使用)
    • 't': テキストモード(デフォルト、通常のテキストファイルを扱う)

例として、簡単にファイルを開いて読み込む方法を見てみましょう。

# ファイルを読み込み専用で開く
file = open('example.txt', 'r')

# ファイル内容を読み込む
content = file.read()

# ファイルを閉じる
file.close()

# 読み込んだ内容を表示
print(content)

この例では、example.txtというファイルを開き、その内容を読み込んで変数contentに保存し、最後にファイルを閉じています。open()関数でファイルを開いた後は、必ずclose()メソッドを呼び出してファイルを閉じる必要があります。ファイルを閉じないと、リソースの浪費やデータの破損が発生する可能性があります。

9.2 ファイルの書き込み

ファイルにデータを書き込むには、open()関数のモードを'w'に設定します。次の例では、新しいテキストファイルを作成し、そこに文字列を書き込んでみます。

# 書き込み専用でファイルを開く
file = open('output.txt', 'w')

# ファイルにデータを書き込む
file.write("Hello, Python!\n")

# ファイルを閉じる
file.close()

このコードは、output.txtという新しいファイルを作成し、その中に"Hello, Python!"というテキストを書き込みます。このファイルがすでに存在する場合、内容は上書きされます。

ファイルに複数行のテキストを書き込むことも可能です。次の例では、リストに保存されたデータをファイルに書き込んでみます。

lines = ["1行目のテキスト\n", "2行目のテキスト\n", "3行目のテキスト\n"]

# ファイルを開く
file = open('output.txt', 'w')

# 各行をファイルに書き込む
file.writelines(lines)

# ファイルを閉じる
file.close()

writelines()メソッドを使うと、リストなどのイテラブル(反復可能な)オブジェクトに格納された複数のデータを一度に書き込むことができます。

9.3 with文を使ったファイル操作

ファイルを操作する際に、open()関数でファイルを開いた後、必ずclose()メソッドを呼び出す必要があることは先ほど説明しましたが、この手順を忘れてしまうと、ファイルが適切に閉じられないという問題が発生します。

Pythonでは、with文を使うことで、このようなリスクを回避できます。with文を使うと、ファイル操作が終了した時点で自動的にファイルを閉じてくれます。

# with文を使ってファイルを開く
with open('example.txt', 'r') as file:
    content = file.read()

# ファイルを閉じる必要はない
print(content)

このコードでは、withブロックの中でファイルを開き、ブロックが終了すると自動的にファイルが閉じられます。これにより、close()を呼び出す必要がなくなるだけでなく、プログラムが途中でエラーを起こしてもファイルが適切に閉じられるというメリットがあります。

9.4 ファイルの読み込み方法の種類

ファイルの読み込みにはいくつかの方法があります。ここでは代表的なものを紹介します。

9.4.1 read()メソッド

read()メソッドは、ファイルの全内容を一度に読み込む方法です。小さなファイルを扱う場合には便利ですが、大きなファイルの場合はメモリ不足の原因になることがあります。

with open('example.txt', 'r') as file:
    content = file.read()

print(content)

9.4.2 readline()メソッド

readline()メソッドは、ファイルを1行ずつ読み込む方法です。ファイルの内容を行ごとに処理したい場合に適しています。

with open('example.txt', 'r') as file:
    line = file.readline()
    while line:
        print(line, end='')  # 改行を防ぐためにend=''を使用
        line = file.readline()

9.4.3 readlines()メソッド

readlines()メソッドは、ファイル全体をリストとして読み込む方法です。各行がリストの要素として格納されるので、行ごとに処理する場合に便利です。

with open('example.txt', 'r') as file:
    lines = file.readlines()

for line in lines:
    print(line, end='')

9.5 CSVファイルの操作

テキストファイルの他にも、CSV(カンマ区切り値)ファイルを操作することもよくあります。Pythonの標準ライブラリには、CSVファイルを簡単に扱うためのcsvモジュールが用意されています。

9.5.1 CSVファイルの読み込み

次に、CSVファイルを読み込む方法を見てみましょう。csv.readerを使用すると、CSVファイルを行ごとにリストとして読み込むことができます。

import csv

with open('data.csv', 'r') as file:
    reader = csv.reader(file)
    for row in reader:
        print(row)

このコードでは、data.csvというCSVファイルを開き、各行をリストとして表示します。

9.5.2 CSVファイルへの書き込み

次に、CSVファイルにデータを書き込む例を見てみましょう。csv.writerを使って、リスト形式のデータをCSVファイルに書き込みます。

import csv

data = [
    ["名前", "年齢", "職業"],
    ["太郎", "30", "エンジニア"],
    ["花子", "25", "デザイナー"]
]

with open('output.csv', 'w', newline='') as file:
    writer = csv.writer(file)
    writer.writerows(data)

writer.writerows()メソッドを使うと、リストのリスト(行ごとのデータ)を一度に書き込むことができます。

9.6 ファイル操作における例外処理

ファイル操作は外部ファイルに依存するため、思わぬエラーが発生する可能性があります。たとえば、存在しないファイルを開こうとしたり、書き込み権限がない場所にファイルを作成しようとした場合です。このような場合には、例外処理を行うことで、プログラムがクラッシュするのを防ぎ、適切なエラーメッセージを表示することができます。

try:
    with open('non_existent_file.txt', 'r') as file:
        content = file.read()
except FileNotFoundError:
    print("指定されたファイルが見つかりませんでした。")
except PermissionError:
    print("ファイルへのアクセス権がありません。")
except Exception as e:
    print(f"予期しないエラーが発生しました: {e}")

この例では、FileNotFoundErrorPermissionErrorを捕捉し、それぞれのエラーメッセージを表示します。

まとめ

この章では、Pythonにおける基本的なファイル操作からCSVファイルの操作、with文を使ったファイル管理、例外処理までを詳しく解説しました。ファイル操作はPythonプログラムにおいて非常に重要なスキルであり、これらの基礎を押さえることで、より複雑なデータ処理やログ管理、ファイルベースのデータ保存などに応用することができます。


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