第5章: シンプルな自動売買戦略の構築

5.1 売買ルールの定義

まずは、シンプルな売買ルールを定義することから始めます。売買ルールは、自動売買プログラムにおいて極めて重要です。ルールが明確でないと、プログラムは正しく動作しませんし、リスクも高まります。

自動売買の基本的な流れは次の通りです。

  1. 買いの条件を定義
    どのタイミングで株を購入するかを定めます。例えば、株価が移動平均線を下から上に突破した時を「買い」のシグナルとするなどが考えられます。
  2. 売りの条件を定義
    どのタイミングで株を売却するかも重要です。買った株をいつ売るのかが利益に直結します。例えば、移動平均線を上から下に割ったときに売るというシンプルなルールを設定できます。

ここで使用するシンプルな戦略として、「移動平均クロスオーバー戦略」を紹介します。これは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回ると買い、逆に下回ると売りというシンプルな戦略です。

移動平均クロスオーバー戦略のルール:

  • 買いの条件: 短期移動平均線(SMA 50)が長期移動平均線(SMA 200)を上抜いたとき。
  • 売りの条件: 短期移動平均線(SMA 50)が長期移動平均線(SMA 200)を下抜いたとき。

これらの条件をPythonで実装していきましょう。

5.2 売買シグナルの実装

移動平均線を使った売買シグナルをPythonでどのように実装するかを見ていきます。ここでは、Pandasを用いて過去の株価データを分析し、売買シグナルを生成します。

ステップ1: 必要なライブラリをインストールする

まず、必要なPythonライブラリをインポートします。

import pandas as pd
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

これらは、データの操作や可視化に使うライブラリです。

ステップ2: 株価データの取得

ここでは、サンプルのデータとしてYahoo Financeから取得した株価データを使うことを想定します。具体的には、Pandasのread_csv()を使って、事前にダウンロードしたCSVファイルを読み込みます。

# サンプルの株価データを読み込む
df = pd.read_csv('sample_stock_data.csv', parse_dates=True, index_col='Date')

# データの最初の5行を確認する
print(df.head())

ステップ3: 移動平均線の計算

次に、短期と長期の移動平均線を計算します。移動平均線は過去の一定期間の株価の平均を取り、株価のトレンドを把握するのに役立ちます。rolling()メソッドを使って、移動平均線を計算します。

# 短期移動平均線 (SMA 50) と長期移動平均線 (SMA 200) を計算
df['SMA_50'] = df['Close'].rolling(window=50).mean()
df['SMA_200'] = df['Close'].rolling(window=200).mean()

ここでは、50日移動平均線と200日移動平均線を使用しています。

ステップ4: 売買シグナルの生成

売買シグナルを生成するには、短期移動平均線と長期移動平均線のクロスを検出する必要があります。これには、シンプルな条件を使います。

# シグナルカラムの作成
df['Signal'] = 0.0
df['Signal'][50:] = np.where(df['SMA_50'][50:] > df['SMA_200'][50:], 1.0, 0.0)

# 売買シグナルの差分を計算(クロスが発生した地点を示す)
df['Position'] = df['Signal'].diff()

ここでは、Signalという新しいカラムを作成し、短期移動平均線が長期移動平均線を上回った場合には「1」、下回った場合には「0」を設定します。そして、Positionカラムには、シグナルの変化(クロス)が発生したかどうかを示す差分を格納します。

ステップ5: シグナルの可視化

最後に、生成した売買シグナルを視覚的に確認します。Matplotlibを使って、株価と移動平均線、さらにシグナルを可視化します。

plt.figure(figsize=(12,8))
plt.plot(df['Close'], label='Close Price', alpha=0.5)
plt.plot(df['SMA_50'], label='SMA 50', alpha=0.75)
plt.plot(df['SMA_200'], label='SMA 200', alpha=0.75)

# 買いシグナルをプロット
plt.plot(df[df['Position'] == 1].index,
df['SMA_50'][df['Position'] == 1],
'^', markersize=10, color='g', label='Buy Signal')

# 売りシグナルをプロット
plt.plot(df[df['Position'] == -1].index,
df['SMA_50'][df['Position'] == -1],
'v', markersize=10, color='r', label='Sell Signal')

plt.title('Moving Average Crossover Strategy')
plt.legend()
plt.show()

このコードは、移動平均線のクロスが発生した地点に買いと売りのシグナル(矢印)を描画します。

5.3 過去データを用いたバックテスト

次に、実際にこの戦略がどれくらい効果的かを確認するために、過去データを使ったバックテストを行います。バックテストは、過去のデータを基に戦略をシミュレーションし、そのパフォーマンスを評価するプロセスです。

ステップ1: 資金管理のルールを定義

バックテストの前に、資金管理のルールを定義する必要があります。たとえば、初期資金を100,000ドルとし、シグナルに従って取引を行うシンプルなルールを設定します。

initial_capital = 100000.0
df['Holdings'] = df['Signal'] * df['Close']
df['Cash'] = initial_capital - (df['Holdings'] * df['Position'].abs()).cumsum()
df['Total'] = df['Cash'] + df['Holdings']

ここで、シグナルに基づいて保有する資産の価値と現金残高を計算し、合計資産を算出しています。

ステップ2: 戦略の評価

最後に、戦略のパフォーマンスを評価します。戦略がどれくらいの利益をもたらしたか、また、リスクに対してどれだけのリターンが得られたかを確認します。

# 総資産の推移をプロット
plt.figure(figsize=(10,6))
df['Total'].plot(label='Total Asset Value', color='b')
plt.title('Portfolio Value Over Time')
plt.legend()
plt.show()

# 最終的な総資産を確認
final_value = df['Total'].iloc[-1]
print(f"最終的な資産額: ${final_value}")

これにより、時間の経過とともにポートフォリオの総価値がどのように変化したかを視覚的に確認できます。最終的な資産額を出力することで、この戦略の実際の利益を把握することができます。


まとめ

この章では、シンプルな移動平均クロスオーバー戦略を用いて、Pythonで自動売買のシステムを構築する方法を解説しました。売買ルールを定義し、売買シグナルを生成し、過去データを用いたバックテストまで行う一連の流れを学んだことで、実際の取引でこの戦略がどれほど効果的かを検証できるようになりました。


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