第8章: Python 自動売買のためのAPI活用

自動売買を実現する上で、API(Application Programming Interface)の活用は不可欠です。APIを使えば、プログラムから直接株式市場にアクセスし、データの取得や注文の発行が可能になります。本章では、APIの仕組みから始め、ブローカーAPIの選び方、実際のAPIを使った注文処理、そして自動売買システムを構築する手順について詳しく解説します。


8.1 APIとは何か?

APIは、異なるソフトウェア間でデータをやり取りするためのインターフェースを提供します。特に株式市場におけるAPIは、ブローカー(証券会社)のシステムと自動売買システムを接続し、リアルタイムのデータ取得や、売買注文の自動化を可能にします。

ブローカーAPIを利用することで、次のような機能が実現できます。

  • リアルタイムの市場データ取得:株価、取引量、テクニカル指標など。
  • 売買注文の発行:成行注文、指値注文、逆指値注文など。
  • ポジション管理:保有する株式の数量、評価損益の確認。
  • 資産状況の確認:口座残高、過去の取引履歴の確認。

これらの機能を組み合わせることで、完全に自動化された株式取引システムが構築可能です。


8.2 ブローカーAPIの選び方

自動売買システムを構築する上で、ブローカーAPIの選定は非常に重要です。APIの質や機能はブローカーによって異なるため、適切なAPIを選ぶことが成功の鍵となります。以下のポイントに注目して、最適なAPIを選びましょう。

8.2.1 APIの種類

ブローカーが提供するAPIは大きく分けて二種類あります:

  1. REST API:HTTPリクエストを介してデータをやり取りするAPIです。扱いやすく、ほとんどのプログラミング言語でサポートされています。取引所のデータを取得したり、注文を出したりする際に使います。一般的に、リアルタイムデータ取得にはやや遅延があることが多いです。
  2. WebSocket API:リアルタイムでのデータ配信に優れたAPIです。サーバーとクライアント間で常時接続を維持し、データが更新されるたびにプッシュ配信されます。リアルタイム性が求められるシステムでは、WebSocket APIが不可欠です。
8.2.2 APIの費用

一部のブローカーは無料でAPIを提供していますが、リアルタイムデータや高頻度のデータ取得には追加費用がかかる場合があります。自動売買システムの規模やニーズに応じて、コストに見合ったAPIを選びましょう。例えば、個人投資家向けに手頃なAPIを提供しているブローカーも多く存在しますが、機関投資家向けの高機能APIは高額になることもあります。

8.2.3 提供されるデータの種類

APIを通じて提供されるデータの範囲も確認する必要があります。株価データ以外にも、ニュース、テクニカル指標、取引ボリュームなど、多様なデータが提供されている場合があります。また、取引所の対応状況も確認し、利用したい市場(国内株、米国株、仮想通貨など)がカバーされているかをチェックしましょう。

8.2.4 APIの安定性とサポート

APIが安定して動作するかどうかは非常に重要です。APIのダウンタイムが長い場合、思ったタイミングで注文ができず、損失を被る可能性があります。また、技術サポートが充実しているかどうかも重要です。ドキュメントやサンプルコード、コミュニティのサポートがあるかどうかを確認し、問題が発生した際にすぐに対処できる体制が整っているブローカーを選びましょう。


8.3 APIを使った注文処理

APIの選定が完了したら、次は実際にAPIを使って注文処理を行います。Pythonを使ったシンプルな注文処理の例を示し、各手順を解説します。

8.3.1 API認証

APIを利用するには、まずブローカーから発行されたAPIキーやアクセストークンを使用して認証を行います。これにより、ブローカーはリクエストが正規のユーザーから送信されていることを確認できます。

以下は、REST APIを使った認証の例です:

import requests

API_KEY = "your_api_key"
BASE_URL = "https://api.broker.com"

# 認証リクエストのヘッダーを設定
headers = {
"Authorization": f"Bearer {API_KEY}"
}

# 認証後、ユーザー情報を取得
response = requests.get(f"{BASE_URL}/account", headers=headers)

if response.status_code == 200:
print("認証成功:", response.json())
else:
print("認証失敗:", response.status_code, response.text)

このコードでは、まずAPIキーを使ってブローカーのAPIにアクセスし、ユーザー情報を取得しています。responseオブジェクトにはリクエストの結果が返され、成功した場合にはユーザー情報が表示されます。

8.3.2 市場データの取得

APIを使ってリアルタイムの株価データを取得することができます。以下の例では、特定の銘柄の株価を取得します。

symbol = "AAPL"  # Appleのティッカーシンボル
endpoint = f"{BASE_URL}/marketdata/{symbol}/price"

# 株価データを取得
response = requests.get(endpoint, headers=headers)

if response.status_code == 200:
data = response.json()
print(f"{symbol}の株価:", data['price'])
else:
print("データ取得失敗:", response.status_code, response.text)

このスクリプトでは、Apple(AAPL)のリアルタイム株価データを取得しています。結果として、最新の株価が表示されます。

8.3.3 売買注文の発行

次に、実際に売買注文を発行する例を見ていきます。以下は、Pythonを使った成行注文の発行例です。

order = {
"symbol": "AAPL",
"quantity": 10, # 10株を購入
"orderType": "market", # 成行注文
"side": "buy" # 買い注文
}

# 注文を発行
response = requests.post(f"{BASE_URL}/orders", json=order, headers=headers)

if response.status_code == 201:
print("注文成功:", response.json())
else:
print("注文失敗:", response.status_code, response.text)

ここでは、Appleの株式を10株、成行注文で購入するコードです。orderオブジェクトに必要な情報を渡し、requests.post()メソッドでAPIに注文を発行します。成功すると、注文IDや注文ステータスが返されます。

8.3.4 注文ステータスの確認

注文が発行された後、そのステータスを確認することが可能です。これは、注文が約定されたか、キャンセルされたかなどを追跡するために使用されます。

order_id = "your_order_id"
response = requests.get(f"{BASE_URL}/orders/{order_id}", headers=headers)

if response.status_code == 200:
print("注文ステータス:", response.json())
else:
print("ステータス取得失敗:", response.status_code, response.text)

このコードでは、order_idを使って特定の注文のステータスを取得しています。これにより、注文がどのように処理されたかが確認できます。


8.4 実際の市場での自動売買

APIを使った基本的な注文処理が理解できたところで、次に実際の市場で自動売買を行う方法を説明します。ここでは、以下のステップに従ってシステムを構築します。

  1. 戦略の定義:例えば、「移動平均線がクロスしたら買い、再びクロスしたら売る」といったシンプルな戦略を定義します。
  2. 市場データの監視:定期的にAPIを使って市場データを取得し、戦略に基づいた判断を下します。
  3. 注文の自動発行:戦略の条件が満たされた場合に自動的にAPIを通じて売買注文を発行します。

以下に、単純な自動売買システムのコード例を示します。

import time

def moving_average_strategy(data):
short_window = data['close'].rolling(window=20).mean()
long_window = data['close'].rolling(window=50).mean()

if short_window.iloc[-1] > long_window.iloc[-1]:
return "buy"
elif short_window.iloc[-1] < long_window.iloc[-1]:
return "sell"
else:
return "hold"

while True:
# 市場データの取得
response = requests.get(f"{BASE_URL}/marketdata/AAPL/price", headers=headers)
data = response.json()

# 戦略に基づいた判断
action = moving_average_strategy(data)

if action == "buy":
order = {
"symbol": "AAPL",
"quantity": 10,
"orderType": "market",
"side": "buy"
}
requests.post(f"{BASE_URL}/orders", json=order, headers=headers)
print("買い注文を発行しました")

elif action == "sell":
order = {
"symbol": "AAPL",
"quantity": 10,
"orderType": "market",
"side": "sell"
}
requests.post(f"{BASE_URL}/orders", json=order, headers=headers)
print("売り注文を発行しました")

# 一定時間待機(例:5分)
time.sleep(300)

このシンプルなシステムでは、Appleの株価データを取得し、20日と50日の移動平均線のクロスを基に売買判断を行っています。売買の判断がなされるたびに、APIを使って自動的に注文が発行されます。これにより、市場の監視や手動での取引が不要になり、完全に自動化されたトレードが可能になります。


8.5 自動売買のリスクと注意点

自動売買には多くの利点がありますが、同時にいくつかのリスクも伴います。APIを使った自動売買システムでは、次の点に特に注意が必要です。

  1. 市場の急変動:自動売買はプログラムに従って動作するため、市場の急変動に対して柔軟に対応できない場合があります。リスク管理やストップロス注文の導入が重要です。
  2. APIの障害:APIの通信が途絶えると、データ取得や注文処理が停止する可能性があります。APIの信頼性を確認し、バックアッププランを用意しておくことが重要です。
  3. 過剰なトレード:プログラムが誤って頻繁にトレードを発行する可能性があります。トレード戦略やバックテストを十分に行い、システムの精度を確認することが大切です。

まとめ

本章では、Pythonを使ってAPIを活用し、実際の市場で自動売買を行うための手法を詳しく解説しました。APIの選定から認証、データ取得、注文処理、自動売買システムの構築まで、すべてのプロセスをステップバイステップで理解できたと思います。


初心者におすすめ!プログラミングスクールのススメ

未経験でも気軽に!サブスク型プログラミングスクール【Freeks】

プログラミングを始めたいと思っているそこのあなた、独学よりもプログラミングスクールが断然おすすめです!理由は簡単、続けやすさです。

独学の挫折率、驚きの87.5%!

独学でプログラミングを続けるのは、実はかなりハードルが高いんです。データによると、なんと87.5%もの学習者が途中で挫折しているとか。一方、各プログラミングスクールが公表しているデータによると、受講生の約95%が最後までやり抜いているとのこと。数字を見れば一目瞭然、プログラミングスクールの方が圧倒的に続けやすいんです。

有料と無料、スクールの違いは?

プログラミングスクールには有料と無料のタイプがありますが、その違いは次の通りです:

  • 受講条件が異なる
  • 学べるスキルやカリキュラム内容が異なる
  • 就職や転職のサポート内容が異なる

どちらが自分に合っているか、よく考えて選ぶのが大事です。

サブスク型プログラミングスクール『FREEKS(フリークス)』に注目!

プログラミング初心者でも学びやすいと評判の『FREEKS』、その特徴は以下の通り:

  • 未経験者向けのわかりやすいカリキュラム
  • 経験豊富なエンジニアのサポート
  • オンラインで自分のペースで学習可能

なんと、月会費のみで全カリキュラムが受け放題!Java、PHP、HTML/CSS、JavaScriptなど、多彩なプログラミング言語が学べるんです。しかも、AIが質問に自動で答えてくれるシステムも導入済み。

終了後は副業もサポート!

カリキュラムを終了した後には、Freeks経由で未経験者でも取り組める副業案件の受注が可能。実務を通じてスキルを磨き、市場価値の高いエンジニアへの道が開けます。

独学で悩むくらいなら、まずはプログラミングスクールをチェックしてみるのもアリかもしれませんよ!
 ↓ ↓ こちらをクリック ↓ ↓ 

p-school

Share
Published by
p-school

Recent Posts

第6章: PHPのデータベース操作

PHPを使用してデータベースに…

2週間 ago

第5章: PHPのオブジェクト指向プログラミング(OOP)

オブジェクト指向プログラミング…

2週間 ago

第4章: PHPの関数

プログラミングにおいて、関数は…

2週間 ago

第3章: PHPの配列とコレクション

PHPでの配列とコレクションの…

2週間 ago

第2章: PHPの基本文法

PHPの基本的な構文や使い方を…

2週間 ago