業務データの可視化は、情報を視覚的に表現することで、データの理解を深め、迅速な意思決定を促進する重要な手段です。この章では、Pythonの強力なライブラリであるMatplotlibを使用して、業務データをどのように可視化するかを学びます。
まず、Matplotlibをインストールする必要があります。以下のコマンドを実行して、Matplotlibをインストールします。
pip install matplotlib
Matplotlibを使って、基本的なグラフを作成する方法を見ていきましょう。以下は、シンプルな折れ線グラフを作成する例です。
import matplotlib.pyplot as plt
# データの準備
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [2, 3, 5, 7, 11]
# グラフの作成
plt.plot(x, y)
plt.title('Sample Line Graph')
plt.xlabel('X-axis')
plt.ylabel('Y-axis')
plt.grid(True)
plt.show()
このコードでは、x
軸に1から5までの整数、y
軸に対応する値(素数)をプロットしています。plt.plot()
関数を使用して折れ線グラフを描画し、plt.title()
、plt.xlabel()
、plt.ylabel()
でタイトルや軸ラベルを設定しています。plt.grid(True)
でグリッドを表示し、plt.show()
でグラフを表示します。
次に、業務データとしてよく使われる売上データを視覚化する方法を見てみましょう。以下は、月ごとの売上データを棒グラフで表示する例です。
import matplotlib.pyplot as plt
# 月ごとの売上データ
months = ['Jan', 'Feb', 'Mar', 'Apr', 'May', 'Jun']
sales = [15000, 20000, 18000, 22000, 24000, 26000]
# 棒グラフの作成
plt.bar(months, sales, color='blue')
plt.title('Monthly Sales Data')
plt.xlabel('Months')
plt.ylabel('Sales (in USD)')
plt.grid(axis='y')
plt.show()
このコードでは、plt.bar()
関数を使って棒グラフを作成しています。各月の売上を表示することで、どの月に売上が高かったかが一目でわかります。
次に、プロジェクトの進捗を示すデータを可視化してみましょう。進捗状況を円グラフで表示する例を以下に示します。
import matplotlib.pyplot as plt
# プロジェクトの進捗データ
labels = ['Not Started', 'In Progress', 'Completed']
sizes = [15, 30, 55] # パーセント
colors = ['red', 'yellow', 'green']
# 円グラフの作成
plt.pie(sizes, labels=labels, colors=colors, autopct='%1.1f%%', startangle=90)
plt.axis('equal') # 円を維持するために設定
plt.title('Project Progress')
plt.show()
このコードでは、plt.pie()
関数を使用して円グラフを描画しています。autopct='%1.1f%%'
オプションを指定することで、各セクションにパーセント表示が追加されます。
Matplotlibでは、グラフをカスタマイズする多くの方法が提供されています。以下では、カスタマイズの例をいくつか紹介します。
グラフのスタイルを変更するには、plt.style.use()
を使用します。以下のコードでは、グラフのスタイルを変更しています。
import matplotlib.pyplot as plt
# スタイルの設定
plt.style.use('ggplot')
# データの準備
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [2, 3, 5, 7, 11]
# グラフの作成
plt.plot(x, y)
plt.title('Styled Line Graph')
plt.xlabel('X-axis')
plt.ylabel('Y-axis')
plt.grid(True)
plt.show()
このコードでは、ggplot
スタイルを使用しています。これにより、グラフの外観が変更され、視覚的に魅力的な結果が得られます。
作成したグラフを画像ファイルとして保存するには、plt.savefig()
を使用します。以下は、グラフをPNG形式でエクスポートする例です。
import matplotlib.pyplot as plt
# データの準備
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [2, 3, 5, 7, 11]
# グラフの作成
plt.plot(x, y)
plt.title('Save Graph Example')
plt.xlabel('X-axis')
plt.ylabel('Y-axis')
# グラフのエクスポート
plt.savefig('line_graph.png')
plt.show()
このコードでは、plt.savefig('line_graph.png')
を使用して、作成したグラフをline_graph.png
という名前で保存しています。保存形式はファイル名の拡張子に応じて変更できます(例:line_graph.pdf
やline_graph.jpg
)。
グラフに特定の情報を追加したい場合は、アノテーション機能を利用できます。以下の例では、データポイントにラベルを追加しています。
import matplotlib.pyplot as plt
# データの準備
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [2, 3, 5, 7, 11]
# グラフの作成
plt.plot(x, y, marker='o')
plt.title('Graph with Annotations')
plt.xlabel('X-axis')
plt.ylabel('Y-axis')
# アノテーションの追加
for i in range(len(x)):
plt.annotate(f'{y[i]}', (x[i], y[i]), textcoords="offset points", xytext=(0,10), ha='center')
plt.show()
このコードでは、plt.annotate()
関数を使って各データポイントの上にその値を表示しています。textcoords
とxytext
オプションを使うことで、ラベルの位置を調整しています。
この章では、PythonのMatplotlibを使用した業務データの可視化について学びました。基本的なグラフ作成から始まり、売上データや進捗データの視覚化、さらにグラフのカスタマイズとエクスポート方法まで幅広くカバーしました。可視化を通じて、データの理解を深め、業務の効率化に役立てていきましょう。次の章では、実際の業務シナリオにおける定型業務の自動化について学びます。
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