無料プログラミング教室 Pスクール Python 画像認識 第5章: Python 機械学習を用いた画像認識

第5章: Python 機械学習を用いた画像認識

Pythonを用いて機械学習の画像認識手法を実装する方法を学んでいきます。特に、現在の画像認識の主要技術であるディープラーニング、そしてその中でも最も成功しているアーキテクチャである**畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)**に焦点を当てます。これにより、画像分類タスクにCNNを使ってどのようにモデルを構築・訓練し、評価するかについて、段階的に説明します。

5.1 ディープラーニングの導入

ディープラーニング(Deep Learning)は、ニューラルネットワークの一種であり、多層のネットワークを通じてデータを処理し、高度なパターン認識を行う技術です。特に画像認識においては、ディープラーニングが大きな進歩を遂げています。

5.1.1 ディープラーニングとは?

従来の機械学習アルゴリズム(例:k-NN、SVM、決定木など)は、特徴量の手動設計に依存していました。これらのアルゴリズムでは、特徴抽出を人間が設計し、機械学習アルゴリズムに渡して学習させていました。しかし、ディープラーニングはこのプロセスを自動化します。ニューラルネットワークは**層(Layer)**を持ち、その中でデータを階層的に処理し、抽象的な特徴を自動的に学習します。特に、畳み込み層を使ったCNNは、画像の特徴を抽出するのに非常に優れています。

5.1.2 ディープラーニングの基本構造

ニューラルネットワークは、基本的に以下の要素で構成されています。

  • 入力層(Input Layer): 画像データをピクセルとして受け取ります。
  • 隠れ層(Hidden Layers): 入力を次々と処理していく層。畳み込み層やプーリング層が含まれます。
  • 出力層(Output Layer): 画像がどのクラスに属するかを予測します(例:手書き数字の分類など)。
5.1.3 ディープラーニングの利点

ディープラーニングは、複雑なデータ構造を理解する能力に優れています。特に画像認識においては、ピクセル単位の情報からパターンを抽出し、極めて高い精度で分類や認識を行います。この技術は、顔認識、物体検出、医療診断画像の解析など、多くの分野で広く活用されています。


5.2 CNN(畳み込みニューラルネットワーク)の基礎

次に、ディープラーニングの中でも特に画像認識に優れた**畳み込みニューラルネットワーク(CNN)**の基本的な仕組みを理解しましょう。CNNは、画像認識タスクにおいて圧倒的な成果を上げているモデルで、画像の中から特徴を効率的に抽出し、それを基に分類や認識を行います。

5.2.1 CNNの構造

CNNの主な構成要素は以下の通りです。

  • 畳み込み層(Convolutional Layer)
    畳み込み層は、画像データに対してフィルタ(カーネルとも呼ばれる)を適用し、画像から特徴を抽出します。例えば、エッジやテクスチャといった低レベルの特徴を抽出するために使われます。フィルタは小さな行列で、画像の一部に対して計算を行い、その結果を次の層に送ります。
  • プーリング層(Pooling Layer)
    プーリング層は、畳み込み層で得られた特徴マップをダウンサンプリングします。これにより、計算量を削減し、過学習を防ぎます。一般的なプーリング手法には**最大プーリング(Max Pooling)平均プーリング(Average Pooling)**があります。
  • 全結合層(Fully Connected Layer)
    CNNの最後の部分では、従来のニューラルネットワークと同様に、全結合層が使用されます。これは、すべてのニューロンが前の層のすべての出力に接続される層で、最終的なクラス予測を行います。
5.2.2 CNNの動作

CNNの大きな強みは、画像のピクセル間の関係を考慮に入れて、画像全体を理解することです。畳み込み層とプーリング層の組み合わせによって、画像の階層的な特徴を段階的に抽出し、それを基に最終的な分類を行います。例えば、最初の畳み込み層ではエッジや線などの単純な特徴を捉え、深層の層に進むにつれて、より複雑なパターンや物体全体の形状を学習します。


5.3 画像分類の実装(MNISTデータセットの例)

ここまで理論的な部分を理解したところで、具体的にPythonを使って画像分類を行うコード例を見ていきます。今回は、手書き数字の画像を分類することで有名なMNISTデータセットを使います。このデータセットには、0から9までの手書き数字の画像(28×28ピクセル)が含まれており、ディープラーニングの入門としてよく使われるものです。

5.3.1 必要なライブラリのインストール

まずは、必要なライブラリをインストールします。ここでは、TensorFlowを用いてディープラーニングモデルを構築します。

pip install tensorflow
5.3.2 データの読み込みと前処理

次に、MNISTデータセットをTensorFlowで読み込み、前処理を行います。画像データは通常、ピクセル値が0から255の範囲で表現されていますが、これを0から1の範囲に正規化します。

import tensorflow as tf
from tensorflow.keras import layers, models

# MNISTデータセットを読み込み
mnist = tf.keras.datasets.mnist
(train_images, train_labels), (test_images, test_labels) = mnist.load_data()

# 画像データを0〜1の範囲に正規化
train_images = train_images / 255.0
test_images = test_images / 255.0
5.3.3 CNNモデルの構築

次に、CNNモデルを構築します。このモデルは、畳み込み層とプーリング層を交互に適用し、最終的に全結合層で分類を行います。

model = models.Sequential([
# 畳み込み層1(32フィルタ、3x3カーネル)
layers.Conv2D(32, (3, 3), activation='relu', input_shape=(28, 28, 1)),
layers.MaxPooling2D((2, 2)),

# 畳み込み層2(64フィルタ)
layers.Conv2D(64, (3, 3), activation='relu'),
layers.MaxPooling2D((2, 2)),

# 畳み込み層3(64フィルタ)
layers.Conv2D(64, (3, 3), activation='relu'),

# 全結合層に向けてフラット化
layers.Flatten(),

# 全結合層
layers.Dense(64, activation='relu'),
layers.Dense(10, activation='softmax') # 出力層(10クラス)
])
5.3.4 モデルのコンパイルと訓練

次に、モデルをコンパイルし、訓練を行います。損失関数にはカテゴリカルクロスエントロピーを使用し、最適化アルゴリズムとしてAdamを選択します。

# モデルのコンパイル
model.compile(optimizer='adam',
loss='sparse_categorical_crossentropy',
metrics=['accuracy'])

# モデルの訓練
model.fit(train_images, train_labels, epochs=5)
5.3.5 モデルの評価

訓練が完了したら、テストデータでモデルの精度を評価します。

# モデルの評価
test_loss, test_acc = model.evaluate(test_images, test_labels)
print(f"Test accuracy: {test_acc}")
5.3.6 結果の考察

通常、このCNNモデルは手書き数字の分類に対して非常に高い精度を達成します。テストデータセットに対して95%以上の精度を得ることが一般的です。これにより、ディープラーニングが画像認識においてどれほど強力かを実感できるはずです。


まとめ

本章では、ディープラーニングの基礎とCNNの仕組みを理解し、実際にPythonを使って手書き数字の分類を行う実装を行いました。CNNは画像認識タスクにおいて非常に強力なモデルであり、今後の画像認識プロジェクトで応用する基礎を学べたかと思います。


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