Rubyの便利な標準ライブラリとメソッドを詳しく紹介します。これらのライブラリは、Rubyでの開発作業を効率化し、幅広い機能を提供するため、Rubyプログラムの中で多くの場面で使われます。特に、ファイル操作、ネットワーク通信、データ処理の分野で活躍する標準ライブラリについて見ていきましょう。各項目には実用的なサンプルコードを交え、具体的にどのように使うのかを解説していきます。
4.1 ファイル操作
Rubyには、ファイルの読み書きや管理を簡単にするための標準ライブラリが豊富に揃っています。ファイルシステムを扱うためのメソッドを通じて、ローカルファイルのデータ取得や操作、外部ファイルへのデータ出力が簡単に実現できます。
4.1.1 ファイルの読み込み
まずは、ファイルの内容を読み込む方法について見てみましょう。File
クラスには、ファイル操作に必要なメソッドが多数用意されています。
File.read
メソッド
ファイル全体を一度に読み込む方法です。小さなファイルを処理する場合に便利です。
content = File.read("sample.txt")
puts content
この例では、sample.txt
の内容をcontent
という変数に読み込み、その後に内容を出力しています。このメソッドはファイルが存在しない場合にエラーを発生させるので、あらかじめファイルの存在確認が必要です。
File.foreach
メソッド
大きなファイルを行ごとに読み込む場合に使用します。
File.foreach("sample.txt") do |line|
puts line
end
File.foreach
は一行ずつ処理できるため、メモリ消費を抑えながら大きなファイルを扱うことができます。
4.1.2 ファイルの書き込み
Rubyでは、ファイルに新しい内容を書き込む方法もシンプルです。書き込みモードを設定することで、新規作成や上書き、追記といった操作が可能です。
File.write
メソッド
ファイルに内容を書き込む際に便利なのがFile.write
メソッドです。新しい内容で上書きする場合に適しています。
File.write("output.txt", "Hello, Ruby!")
このコードはoutput.txt
に「Hello, Ruby!」という文字列を書き込みます。ファイルが存在しない場合は新規作成され、存在する場合は内容が上書きされます。
追記モードでの書き込み
追記モードを使用すると、既存のファイルの末尾に新しい内容を追加できます。
File.open("output.txt", "a") do |file|
file.puts "追加の内容"
end
この例では、output.txt
に「追加の内容」という文字列が追加されます。"a"
モードを指定することで追記できるため、既存の内容を残したまま新しい情報を付け加えたいときに便利です。
4.1.3 ファイルおよびディレクトリの操作
ファイルやディレクトリの存在確認や削除、作成も重要な操作です。RubyのFile
クラスやDir
クラスを使って簡単に操作できます。
ファイルの存在確認
if File.exist?("output.txt")
puts "ファイルは存在します"
else
puts "ファイルは存在しません"
end
ディレクトリの作成と削除
Dir.mkdir("new_directory") unless Dir.exist?("new_directory")
Dir.delete("new_directory")
4.2 ネットワーク通信
Rubyでは、ネットワーク通信を行うためのライブラリも充実しており、HTTPリクエストやデータ取得が簡単に行えます。ここではNet::HTTP
ライブラリを使った基本的なネットワーク通信の方法について説明します。
4.2.1 HTTPリクエストの実行
Net::HTTP
ライブラリを使うと、HTTPリクエストを送信し、レスポンスを受け取ることができます。
GETリクエスト
require 'net/http'
require 'uri'
uri = URI.parse("https://jsonplaceholder.typicode.com/posts")
response = Net::HTTP.get_response(uri)
puts response.body
この例では、https://jsonplaceholder.typicode.com/posts
というURLに対してGETリクエストを送り、そのレスポンスの本文を出力しています。データの取得やウェブAPIへのアクセスに非常に便利です。
POSTリクエスト
require 'net/http'
require 'uri'
require 'json'
uri = URI.parse("https://jsonplaceholder.typicode.com/posts")
request = Net::HTTP::Post.new(uri)
request.content_type = "application/json"
request.body = JSON.dump({
"title" => "Ruby Post",
"body" => "This is a post request from Ruby",
"userId" => 1
})
response = Net::HTTP.start(uri.hostname, uri.port, use_ssl: uri.scheme == "https") do |http|
http.request(request)
end
puts response.body
この例は、POSTリクエストを使ってJSON形式のデータをサーバに送信し、レスポンスを受け取っています。Net::HTTP::Post
クラスを使うことで、簡単にサーバとのデータ送受信が可能です。
4.3 データ処理
Rubyはデータ処理に適したメソッドやクラスも多数提供しています。ここでは、データ変換やフィルタリング、集計など、よく使う処理を取り上げます。
4.3.1 配列の変換・フィルタリング
配列のデータ処理にはmap
、select
、reject
などのメソッドが便利です。
map
メソッド
numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
squared_numbers = numbers.map { |n| n ** 2 }
puts squared_numbers
このコードでは、numbers
配列内の各要素を2乗した新しい配列squared_numbers
を生成しています。
select
メソッド
numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
even_numbers = numbers.select { |n| n.even? }
puts even_numbers
select
メソッドは、条件を満たす要素のみを抽出します。ここでは、偶数だけを抽出して出力します。
4.3.2 ハッシュの操作
ハッシュもデータ処理でよく使う構造です。キーと値の組み合わせに基づく処理や、フィルタリングが簡単にできます。
キーと値の反転
hash = {a: 1, b: 2, c: 3}
inverted_hash = hash.invert
puts inverted_hash
値によるフィルタリング
grades = {Alice: 90, Bob: 85, Carol: 72}
passed = grades.select { |name, grade| grade >= 80 }
puts passed
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