Rustの開発を始めるには、まず環境を構築する必要があります。ここでは、Rustのインストール手順、開発環境の設定、使いやすいツールやエディタの紹介、そして最初のプログラム「Hello, World」の実行までを詳しく解説していきます。
Rustの公式なインストールツールは「Rustup」です。Rustupは、Rustツールチェーンを管理するためのツールで、Rustのインストールやバージョン管理、ビルドツールのアップデートを簡単に行えます。Rustのインストール方法は、主に以下の手順に従います。
Rustupをインストールするには、以下のコマンドを実行します。これはLinux、macOS、およびWSL(Windows Subsystem for Linux)上で動作します。
curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh
上記のコマンドを実行すると、Rustのインストールスクリプトが実行され、インストールが開始されます。スクリプトは、ユーザーに対してインストールを確認するプロンプトを表示するため、指示に従って「1」を入力することでインストールを進めることができます。Windowsの場合は、公式Rustのダウンロードページからインストーラーをダウンロードして実行してください。
インストールが完了すると、Rustの実行ファイルのパスが設定される必要があります。インストール後、以下のコマンドで現在のターミナルセッションにパスを追加します。
source $HOME/.cargo/env
これにより、RustとCargo(Rustのパッケージマネージャー)がパスに追加され、どのディレクトリからでもRustコマンドを使用できるようになります。
Rustのインストールが成功したかを確認するために、以下のコマンドを入力します。
rustc --version
上記のコマンドを実行すると、インストールされたRustのバージョンが表示されるはずです。表示されない場合は、パスが正しく設定されているか再確認してください。
Rustのインストールが完了したら、開発環境を整えてプログラミングを効率化しましょう。Rustはどのエディタでも使えますが、いくつかのエディタやIDEにはRustに特化したプラグインがあり、効率よく開発を進められる環境が整っています。ここでは代表的なエディタとその設定手順を紹介します。
VSCodeは、Rustの開発に非常に人気のあるエディタです。拡張機能が豊富で、Rust用のプラグインも充実しています。以下の手順でRust用の環境を整えましょう。
{
"rust-analyzer.cargo.runBuildScripts": true,
"rust-analyzer.checkOnSave.command": "clippy"
}
IntelliJ IDEAやCLionは、JetBrainsが提供するIDEであり、Rust用のプラグインもあります。これらのIDEは豊富な機能と高度なデバッグ機能を提供し、Rustの開発にも適しています。
他にもAtom、Sublime Text、Emacs、VimなどでRustの開発を行うことも可能です。それぞれにRust用のプラグインが用意されていますので、使いやすいエディタで開発を行うと良いでしょう。
開発環境が整ったら、Rustで最初のプログラムを実行してみましょう。まずは「Hello, World」と表示する簡単なプログラムを作成します。
Rustでは「Cargo」というツールがデフォルトでインストールされており、プロジェクトの作成や管理を容易にしてくれます。以下のコマンドで、新しいプロジェクトを作成します。
cargo new hello_world
このコマンドを実行すると、hello_world
という名前のディレクトリが作成され、その中にRustのプロジェクトが初期化されます。hello_world
ディレクトリには、以下のようなファイルとフォルダが含まれています。
src/main.rs
ファイルを開き、以下のコードが記述されていることを確認します。
fn main() {
println!("Hello, World!");
}
このコードは、Rustにおける最も基本的な構文を使っています。fn main()
はエントリーポイントを定義する関数であり、println!
マクロは標準出力に文字列を表示するために使用されます。
Cargoを使って、プログラムをビルドして実行してみましょう。
cargo build
cargo run
Rustのビルドには、リリースビルドとデバッグビルドの2種類が用意されています。
cargo build
コマンドで行われるビルドで、デバッグ情報を含んでいます。開発中はこのビルドモードがデフォルトで使用されます。cargo build --release
で生成できます。リリースビルドは実行速度が速いですが、デバッグ情報は含まれません。この章では、Rustのインストール方法から開発環境の設定、最初のプログラムの実行方法までを学びました。Rustの環境構築は一見複雑に思えるかもしれませんが、RustupとCargoを使うことでシンプルに管理でき、開発効率が大幅に向上します。